投資用不動産の売却・出口戦略サポート
投資用マンションをこのまま所有していていいのか
売るか持ち続けるかを決める4つの物差し
初回相談では、現在の月次収支、売却時の概算手取り、保有を続ける場合の課題、管理・賃料見直しの余地を確認します。資料がすべて揃っていない場合も、分かる範囲からご相談いただけます。
まず、売る場合と持ち続ける場合を並べてみる著者:橋本裕介(株式会社TESキャピタル代表取締役/不動産アナリスト)
この記事の要点
- 投資用マンションを持ち続けるかどうかは、「値上がりしそうか」では決められません。「いま売った場合」と「持ち続けた場合」を、同じ時点の数字で並べて比べます。
- 比べる物差しは4つです。①いま売った場合の手残り、②持ち続けた場合の収支とローン残高の推移、③見込みが外れた場合の収支、④サブリース契約の条件。
- 選択肢は「売る」「持ち続ける」の二択ではなく、「条件を見直してから持ち続ける」を含めた3つです。
1|結論:4つの物差しで比べてから決める
「この物件をこのまま持ち続けてよいのか」という相談は、毎月の収支が赤字になった、サブリース会社から賃料減額の提示があった、変動金利の見直し時期が近い、修繕積立金の値上げが決まった、といったきっかけで寄せられます。
私の答えは一つです。感覚や一つの数字で決めず、「いま売った場合」と「持ち続けた場合」を同じ土俵に並べてから決めます。
持ち続けて賃料や価格が上がれば有利になります。しかし、賃料の下落、空室、金利の上昇、修繕費の増加が重なれば逆の結果になります。だから私は、見込みどおりに進んだ場合だけでなく、見込みが外れた場合の数字まで確認してから決めることを勧めています。
2|選択肢は3つ
| 選択肢 | 向いている状況 | 注意点 |
|---|---|---|
| 売る | 保有を続けても収支の改善が見込めない/ほかに資金の使い道がある | 売却価格ではなく、諸費用・税金・ローン残債を引いた手残りで判断します。残債が売却価格を上回れば自己資金の持ち出しになります |
| 持ち続ける | 見込みが外れた場合の収支にも耐えられる | 「上がるはず」だけに頼りません。残債の減り方と将来の売却価格を併せて見ます |
| 条件を見直してから持ち続ける | 管理委託・サブリース・ローンの条件に見直しの余地がある | 契約の変更や解約には、相手方との合意と契約条項の確認が必要です |
「売るか持つか」の二択で考えると、見直しの余地を見落とします。まず3つを並べます。
3|判断の物差し4つ
3-1 いま売った場合の手残り
売却価格ではなく、手元に残る金額で考えます。
手残り = 売却価格 − 売却諸費用(仲介手数料・登記費用など) − ローン残債 − 譲渡所得にかかる税金
譲渡所得 = 売却価格 −(取得費 + 売却諸費用)
譲渡所得の税率は、売却した年の1月1日時点で所有期間が5年を超えるかどうかで変わります。売る時期で手残りが変わります。税額の計算は税理士に依頼してください。
サブリース契約付きの物件は、契約なしの物件と査定価格が異なります。「契約付きのまま売る」と「契約を終了してから売る」の想定価格と費用を、同じ時点で比べます。
手残りの計算に使う売却価格の目安は、株式会社TESキャピタルが運営する無料の「ワンルーム専門査定」で確認できます。投資用ワンルーム(1R・1K)向けで、家賃・管理費・所在地から収益還元法で算出します。
3-2 持ち続けた場合の収支とローン残高の推移
毎月の収支は、入居者からの賃料(サブリースなら保証賃料)から、ローン返済、管理費、修繕積立金、固定資産税・都市計画税、管理委託料を引いて出します。
ここで毎月の現金の出入りと返済で減っていくローン残高は分けて見ます。毎月は持ち出しでも残債が着実に減っているケースと、残債の減り方が遅く持ち出しが続くだけのケースでは、判断が変わります。何年後にどの状態になるかを年ごとに並べます。
3-3 見込みが外れた場合の収支
次の変化が起きた場合に、持ち続けた収支と将来売却した手残りがどうなるかを確認します。
- 次回の賃料改定で据え置きか減額になる
- 一般管理なら空室期間が生じる/サブリース解約後に空室や免責期間が生じる
- 変動金利で返済額が見直される
- 修繕積立金の値上げや大規模修繕の負担が生じる
- 売却時の価格が想定を下回る
「上がれば得」で終わらせません。外れても耐えられるかを判断の条件に入れます。
3-4 サブリース契約の条件
サブリース契約がある物件は、契約書で次の4点を確認します。
- 賃料の改定時期と減額に関する定め
- 解約の条件(予告期間、中途解約条項の有無、普通借家か定期借家か)
- 解約時の違約金の定め
- 契約終了後の入居者の扱い
サブリース解約の違約金に相場はありません。契約書の算定条項で決まります。「保証賃料の何か月分」という一律の目安は存在しません。条項の効力や解約の可否は法律判断なので、必要なら弁護士に確認してください。
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4|比較表の見本
相談では、この表に実際の数字を入れて比べます。
| 項目 | いま売る | 持ち続ける(見込みどおり) | 持ち続ける(見込みが外れた場合) |
|---|---|---|---|
| 毎月の収支 | ― | ||
| ○年後のローン残高 | ― | ||
| 想定売却価格 | |||
| 売却諸費用・税金 | |||
| 手残り(または持ち出し) | |||
| 判断が変わる条件 |
5|立ち止まって比べるべきサイン
- 毎月の持ち出しが続き、家計や事業の資金繰りに影響が出始めた
- サブリース会社から賃料減額の提示があった
- 変動金利で返済額の見直し時期が近い
- 修繕積立金の値上げや大規模修繕が決まった
- 購入時の説明と現在の収支が大きく違う(説明資料と契約書を突き合わせます)
サインがあっても、すぐ売るべきとは言いません。比べてから決めます。
6|事例:数字を並べて判断した2つの相談
実際の相談をもとに、個人・物件・関係会社を特定できないよう地域・属性・時期を一部変更しています。金額は端数処理または幅で表示しています。
事例A|サブリースを解約せず、次回の賃料改定まで保有を選んだ相談
相談者の悩み
東京都内の区分マンション。現行の保証賃料は約8.8万円/月、所有者の目標は約9.8万円/月。直ちに契約終了・売却へ進むか、次回の賃料改定まで保有するかを、数字で比べてから決めたいという相談でした。
比較した数字
この物件は、周辺の募集・成約賃料から見て、次回改定で賃料を上げられる可能性が高いエリアにあります。上げ幅は改定時の協議で決まるので、上昇幅ごとに理論価格を並べました。
| 改定後の保証賃料 | 上昇幅 | 収益還元による理論価格 | 現行との差 |
|---|---|---|---|
| 約8.8万円(据え置き) | 0円 | 約2,680万円 | 0円 |
| 約9.0万円 | +2,000円 | 約2,740万円 | 約+60万円 |
| 約9.3万円 | +5,000円 | 約2,830万円 | 約+150万円 |
| 約9.8万円(目標) | +10,000円 | 約2,985万円 | 約+305万円 |
理論価格は株式会社TESキャピタルの試算(同じ利回り条件)で、実際の査定差・売却差ではありません。
判断
月額2,000円の上昇でも理論価格は約60万円、5,000円で約150万円、目標の1万円で約305万円上がります。所有者は直ちに解約・売却へ進まず、次回の賃料改定まで保有する方針を選びました。
判断が変わる条件
次回改定で賃料が据え置きになれば、理論価格の上積みはなく、待った期間の持ち出しと残債の減少だけが残ります。その場合は、その時点の残債と査定価格で「いま売る」を再計算し、売却へ切り替えるかを決めます。
現在地
次回の賃料改定まで保有中です。改定後に売却時期を判断します。
事例B|購入直後から赤字のサブリース物件で、契約の無効を求める方針を選んだ相談
相談者の悩み
東京都内の区分マンションを購入した直後から、保証賃料がローン返済額を下回り、管理費等を含める前から毎月赤字でした。所有者は早期売却を考えていました。
比較した数字
| 項目 | 金額 | 出所 |
|---|---|---|
| ローン残債 | 約2,955万円 | ローン資料 |
| 契約付きでの成約価格の見込み | 約2,250万〜2,350万円 | 株式会社TESキャピタル査定 |
| 売却費用を引く前の持ち出し見込み | 約600万〜700万円 | 同 試算 |
| 月次収支 | 赤字 | 保証賃料がローン返済を下回る |
判断
売却費用を引く前でも約600万〜700万円の持ち出しになり、残債の減少だけで持ち出しがなくなるのを待つと10年以上かかる計算でした。一方で、契約締結時の説明と契約内容に食い違いがありました。
所有者は、早期売却でも長期保有でもなく、弁護士を代理人として契約の無効を求める方針を選択し、現在、手続が進行中です。
株式会社TESキャピタルは、売買契約書、サブリース契約書、営業時の説明資料、ローン資料、月次収支をまとめ、売却・保有の数字と並べて弁護士に引き継ぎました。無効を求める根拠の組み立てと見通しは弁護士が担当しています。
判断が変わる条件
無効が認められなければ、保有継続(残債の減少を待つ)と契約付き売却(持ち出し約600万〜700万円)の比較に戻ります。手続の費用・期間と、その間の持ち出しも判断材料になります。
現在地
弁護士を代理人として、契約の無効を求める手続が進行中です。結果が出た時点でこの事例に追記します。
7|株式会社TESキャピタルの保有相談
相談で受け取れるもの
- 「いま売る」「持ち続ける」「条件を見直す」を並べた比較表(4の見本の形式)
- 見込みが外れた場合の比較
- 判断が変わる条件の洗い出し
行わないこと
- 金融商品の販売・勧誘
- 投資助言
- 法律・税務の個別判断(必要に応じて弁護士・税理士をご案内します)
- 相手方との代理交渉
まず、売る場合と持ち続ける場合を並べてみる(初回相談無料・全国オンライン対応)
著者
橋本裕介(株式会社TESキャピタル代表取締役/不動産アナリスト)
投資用マンションの保有判断とサブリース契約の見直しを専門に、所有者の立場で数字を並べて比べる分析を行っています。経済アナリストとしての発信も行っています。
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不動産投資の悩みは、購入前よりも保有中に増えていきます。だからこそ、現状を数字と条件に置き換え、複数の選択肢を比較したうえで、納得して次の一手を決めることが重要です。
TESキャピタルが大切にしている視点
私たちは、不動産を「買って終わりのモノ」ではなく、保有中の運用と出口まで含めて考える資産だと捉えています。目先の利回りや価格だけでなく、将来の売りやすさ、管理状態、再生の余地まで視野に入れて判断します。
相談後の管理・売却の実務にも対応できる体制を持っているため、保有継続、管理見直し、再生、売却を横断的にご提案できる点が強みです。
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選択肢の比較
保有継続、管理見直し、再生、売却など、考えられる選択肢を並べ、優先順位を明確にします。
実行フェーズ
方向性が決まった後は、管理、再生、売却など次の実務にもつなげていきます。
FAQ
保有を続けるべきか、売却に進むべきか。
その判断を一人で抱え込まず、
まずは現状を数字にするところから始めてみませんか。
※初回のご相談は無料です。費用が発生する個別業務をご案内する場合は、業務内容と費用を事前にご説明します。
