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高圧経済とは何か

高圧経済とは何か

高圧経済の定義
「高圧経済(ハイプレッシャー・エコノミー)」とは何か

「高圧経済(ハイプレッシャー・エコノミー)」とは、意図的に景気をやや「熱め」の状態に保ち、失業率を低く・需要を強く維持することで、賃金上昇や労働参加率の改善、生産性向上などを狙う経済運営のあり方を指します。

典型的な高圧経済の特徴
・失業率が自然失業率を明らかに下回る水準まで低下している
・賃金が上昇しやすく、家計所得が増えやすい環境
・インフレ率が中央銀行の目標(多くは2%程度)付近〜やや上で推移
・それでも金融政策は「やや緩和的」

高圧経済は、景気を過度に冷やさずに運営することで
「周辺にいる人材(女性・高齢者・低所得層・移民など)の雇用を広げ、成長の裾野を広げる」
ことを狙ったアプローチです。

中立金利とは何か
高圧経済との関係

中立金利とは、「景気を過度に刺激も冷却もしない、ちょうど中立的な水準の金利」のことです。

金利が中立金利より低い場合
→ 景気を“アクセル寄り”に踏んでいる状態(緩和的)

金利が中立金利より高い場合
→ 景気に“ブレーキ”をかけている状態(引き締め的)

中央銀行は
「今の政策金利が中立金利より上か下か」
を常に意識しながら政策を運営しています。

高圧経済とは
インフレ率がある程度高いにもかかわらず、政策金利が中立金利より低い状態が続くことで、景気は“ややアクセルを踏んだ状態”になります。

日米比較
米国の高圧経済と現在の日本の類似点

  1. 労働市場の逼迫
    US 米国:失業率3%台後半、企業が採用難に直面
    JP 日本:失業率が歴史的低水準、人手不足倒産も増加

01 長期低インフレ → 2〜3%インフレへ転換
日本も米国も「低インフレから2%インフレの定着」局面にある

02 金融政策がまだ完全には締まっていない
・インフレ率2〜3%
・政策金利はそれより低い水準
→ 実質金利はゼロ〜マイナス
→ 日本は“高圧経済に近い状態”

日米の類似点と相違点

  1. 周辺の労働力を取り込む動き
    女性・高齢者・外国人就業者の増加が続く
  2. 相違点:家計の「体感」
    米国:実質賃金が伸びやすかった
    日本:物価だけが上がり、生活が楽にならない
    → ここが大きな違い

不動産投資への影響
高圧経済下で不動産投資家が考慮すべきポイント

  1. 金利上昇とキャップレート拡大による価格下落リスク

国債利回りが上昇
→ キャップレート+0.5〜1.0%拡大
→ 物件価格は10〜20%調整する可能性

投資判断ポイント
・金利ストレス「国債+1〜2%」で試算
・妥当なLTVに収まるか確認

考慮すべきポイント(続き)

  1. 借入コスト上昇とリファイナンスリスク
    ・金利+1〜2%
    ・賃料が思ったより伸びない
    → 高LTVほど影響大

(ポイント)
・固定/変動の比率
・DSCR1.1〜1.2倍維持
・返済の集中を避ける

  1. 賃料・空室動向:追い風と格差
    ・駅近・都心は強い
    ・郊外/低所得向けは実質賃金低迷の影響を受けやすい
  2. 建設費・修繕費・省エネ対応コストの上昇
    ・Capex増加でNOIが伸びづらくなる
    ポイント:
    ・実質NOI利回りで評価
    ・追加投資を見込むこと
  1. レバレッジと時間軸の設計

高圧経済は、
「賃料成長・稼働率改善・インフレによる名目価格上昇」
というプラス要因がある一方、
利上げ→景気減速→キャップレート急拡大
のリスクも併存。

不動産投資家に重要な視点:

区分レジ
LTV70%以下

一棟レジ
LTV60%前後
「金利+2%」でも耐えられる水準へ

時間軸の設計
日銀の金利サイクル
(利上げ開始〜打ち止め〜景気減速)
と売却・保有時期をセットで考える

おわりに

現在の日本は、失業率の低さやインフレ率、政策金利と中立金利の関係といったマクロ指標を見る限り、「高圧経済」に近づきつつある局面にあります。一方で、家計の実質所得や消費の弱さといった課題も抱えており、表面的な数字だけでは読み解けない複雑さも増しています。


不動産投資において重要なこと

不動産投資においては、こうしたマクロ環境の変化と中立金利の考え方を前提に、

金利・キャップレート・賃料の複数シナリオをあらかじめ想定すること
・レバレッジの水準とリファイナンス時期を慎重に設計すること
・エリア・ターゲット・物件の質による「勝ち負けの差」が拡大する前提でポートフォリオを組むこと

が、これまで以上に重要になっていきます。

当社では、マクロ経済環境と不動産市場の動向を踏まえつつ、長期的な視点から安定性と成長性を両立する投資戦略の構築を支援してまいります。

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橋本裕介
代表取締役
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そして、弊社では不動産を金融商品と考えております。