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不動産のリスク

再建築不可物件とは?
メリットとデメリットを知る

再建築不可物件とは?メリットとデメリットを知る

不動産投資をしようと思って物件情報を眺めていると『 再建築不可 』と記載があるのを目にしたことがある人も多いと思います。

再建築不可物件とはその名のとおり、解体して更地にしたあとに同じ条件で物件を建築することができない物件を指します。

古い戸建てを取り壊して新しくマンションを建てたい、あるいはフルリノベーションして自分が住んだり、賃貸に出したい、といった場合はどうすればよいのでしょうか。

今回の記事では、再建築不可物件の意味やそのメリットやデメリット、上手な活用の仕方などを深堀りしていきたいと思います。

目次

再建築不可物件とは?メリットとデメリットを知る

はじめに再建築不可物件となる条件についてみていきましょう。

再建築不可物件に該当するかどうかは、主に『 接道義務 』を満たしているかどうかが判断基準になります。

接道義務とは、建築物は道路にその敷地が2m以上接していなければならない、というものです。ここでいう『 道路 』とは建築基準法で幅4メートル以上の道路と定められています。

接道義務(画像出典:スーモ https://suumo.jp/yougo/s/setsudougimu/)

こうした接道義務が課される背景としては、防災や安全のために緊急車両の出入りを確保して、消火活動や救助をスムーズに行えるように、との配慮からです。

なお、接道義務を果たしていないからといって直ちに罰則があるわけではないので、そこは安心してください。

また、リフォームやリノベーション自体は『 建築行為 』には該当しないため可能となっています。

再建築不可物件のメリット

さて、一見するとイメージが悪いように思える再建築不可物件ですが、もちろんメリットもあります。それぞれ順番に見ていきましょう。

購入費用が安い

まずはなんといっても価格が安い、ということです。

再建築不可物件は新しく建て替えができないことから、一般的には敬遠されがちです。

それゆえ販売する売主側も価格を下げて売り出す傾向にあります。

あくまでイメージですが大体2〜3割、相場より安いイメージです。

また購入費用が安いため、リフォームやリノベーションを実施して物件のバリューアップに成功すれば、高い利回りを実現することも可能です。

固定資産税が安い

再建築不可物件は資産価値が低いため、固定資産税評価額も低くなっています。

そのため、固定資産税評価額を基準に算出される固定資産税や都市計画税、さらには相続税や贈与税も通常より割安になります。

再建築不可物件のデメリット

再建築(増築・改築含む)ができない

最大のデメリットは、なんといっても再建築ができないという点です。

経年劣化により住宅としての機能が低下しても、地震や津波で倒壊したとしても建て直すことはできません。

仮にそのまま住み続ける、といった選択肢を取ったとしても築年数が経っているため、どうしても通常より維持や修繕のための費用が割高になってしまいます。

なんとか再建築をしようとしても、そのためには隣地を購入して接道義務を満たすようにするか、セットバックをしたりする必要が生じるため、安く購入できたとしても結果として割高になってしまうことがあります。

銀行ローンが使えない

再建築不可物件を購入する場合、住宅、投資問わず原則的には銀行から融資を引き出すことができないのも大きなデメリットです。

仮に借り入れができたとしても、金利が高くなったり、融資期間が短くなるなど、通常よりもローン条件は悪くなります。

融資する側の金融機関は購入予定の物件を担保としてお金を貸し出します。

ですので通常より担保評価としての価値が低い再建築不可物件への融資は渋る傾向にあるのはある意味当然でしょう。

その他再建築不可物件になる条件

再建築不可物件になってしまう主な条件は上記にある接道義務違反ですが、他にもいくつかあります。

既存不適格物件

既存不適格物件とはその建物が建築された当時の建築基準法では適法であったものが、法律の改正により現行法の下では違法建築になってしまう物件、を指します。

ただちに違法として処罰はされませんが、増改築や建て替えはできません。

主な事例としては用途地域が変更になったため、住宅街に残ることになった工場や、建築基準法改正により容積立オーバーになってしまった建物が挙げられます。

なお、当初から法令に違反している違法建築や欠陥住宅とは区別するようにしましょう。

物件が市街化調整区域にある

市街化調整区域とは自治体が、開発を抑制するために指定した区域を指し、対義語は市街化区域になります。

市街化調整区域では原則として新たに建物の建築をすることができません。

ただ自治体によっては開発許可を受ければ市街化調整区域内であっても、建物の建築、増改築を認めてくれるケースもあるので、担当部署に確認するとよいでしょう。

敷地上空を高圧電線が通っている

最後はレアなケースですが、建物の敷地上空を高圧電線(17万ボルト以上)が通っている場合です。

イメージしやすいのは鉄塔の周囲にある建物です。こうした物件は電波障害などマイナスなイメージもあいまって、再建築不可物件の中でもさらに安い傾向にあるようです。

再建築不可物件を購入する際に気を付けたいポイント

ここまで再建築不可物件のメリット&デメリットを見てきました。

デメリットも大きい再建築不可物件ですが、市場に一定数出回っていることから、そのメリットに着目して購入していくオーナーも一定数いるということになります。

この章ではいざ再建築不可物件を購入する際に気を付けたいポイントをまとめてみます。

隣地の状況を把握しておく

隣地の状況を事前に把握しておくことは再建築不可物件の購入に際して、まず注意しなければならないことの1つです。

例を挙げると、道路に面していない土地に建物がある場合、自分の物件まで行くのに隣地を通行する必要が生じてきます。

不動産の世界には『 通行地役権 』という考えがあります。

簡単に言えば公道に出るためとは言え、勝手に他人の土地を通ってはいけない、ということです。

トラブルを未然に防ぐためにも隣地の所有者にその土地を通ることの承諾を事前に得ておく必要があります。

また、隣地との境界線がしっかり定まっているか否かも事前に売主または不動産会社に確認するなどしてチェックしておきましょう。

需要がある立地かどうか見極める

自宅として利用する場合も、賃貸などの投資不動産として利用する場合も、見ておくべきポイントは立地です。

例えば駅に近く、商業施設が充実している立地であれば、再建築不可物件であっても適切なリフォームorリノベーションを施し、適切な賃料で募集すれば十分賃貸経営は成り立つでしょう。

また、都心部の古い低層住宅が密集しているような場所は大手デベロッパーや行政により再開発エリアに指定されることもあります。

そのような事態になれば一気に周辺相場は上昇するので、高いキャピタルゲインを得ることも夢ではありません。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

少し古いデータになりますが総務省が5年ごとに実施している「住宅・土地統計調査」の2008年調査によるデータによると「敷地が道路に接していない」住宅は全国で117万1,800戸、「幅員2メートル未満の道路に接している」住宅は230万4,700戸にのぼるそうです。

このように再建築不可物件は思ったよりも多く存在します。そのため、今後も一定数はマーケットに流通し続けるでしょう。

安く買える、という魅力があるため購入時のポイントをしっかり押さえておけば、十分リターンを得ることも可能になります。

今回は以上になります。

最後までお読みいただきありがとうございました。


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