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「老後2000万円問題」の現在地

「老後2000万円問題」の現在地

2019年にニュースになった「老後2000万円問題」、あまりに多額かつセンセーショナルなタイトルだったので記憶されている方も多いのではないでしょうか。

これは金融庁の審議会が発表した「市場ワーキンググループ」の報告書により「老後30年間で約2000万円が不足する」という発表がされたことに端を発しました。


その時点での報告書によれば、
夫65歳以上、妻60歳以上の高齢夫婦世帯では平均収入から平均支出を引くと毎月5.5万円の不足が発生し、20年間でおよそ1300万円・30年間では2000万円が不足するという試算に基づいたものです。

注目された背景

ではなぜここまで老後2000万円問題が盛り上がったのでしょうか?
その背景には、経済状況の大きな変化と平均寿命が延びたことが影響として挙げられます。


「経済状況の大きな変化」
終身雇用の概念が崩壊しつつある現代で、以前のように1社に長く勤続する人は減少しています。

これは定年時の退職金にも大きく影響してきます。これまでは退職金と年金が老後資金の原資となっていましたが、退職金が目減りしている現代では老後の不安を煽るには十分すぎる状況です。

実際に90年代後期と比較して支給された退職金は約4割減っています。労働の多様化はこうしたところにも大きく影を落としています。


「平均寿命の延び」
厚生労働省の統計によると、

1955年時点で男性63.6歳・女性67.75歳だった平均寿命。

約60年後の2019年には男性81.41歳・女性87.45歳と10年以上延びています。

その上2040年の予測値では男性83.27歳・女性は89.63歳とますます延びていきます。

高齢化の是非は趣旨と異なるので割愛しますが、長寿命化は単純に生活費が必要となる期間が長くなることと言え、資金に目が行くのは至極当然な流れでしょう。

そして、「該当の年齢に達したとき2000万円足りなくなる問題」だと思っているとすれば、理解を改めるべきです。報告書の内容のベースに用いられたデータは2017年の家計調査年報からの平均値でした。

高齢夫婦無職世帯の平均収入と平均支出の計算から算出されています。あくまでも平均値であるデータを、全ての人に当てはめて捉えるのは賢明とは言えません。
実際、2020年の平均値をデータに用いて2017年の報告書と同じように計算すると、収入ー支出が毎月1,500円の不足、30年間でも約55万円の不足という結果が出ています。
2つの平均値の算出の差が指し示すのは、言うまでもなく用いるデータによって大きく結果が変わるということ。2000万円問題は絶対ではない、ということです。

生活にかかる費用にも各家庭によって大きな差があったり、持病や疾病リスク・趣味などの生活様式にも個々人で差があるはずです。あくまでもこうした算出方法が存在するのを認識することは非常に大切であり、ご自身のライフスタイルや見込みに合わせて計算を事前にしておくと良いでしょう。

年金受給と貯蓄だけで賄うのが難しい見込みが立ったとしたら、今から投資などに目を向け将来の備えのために実行することで不安を解消できます。