地震大国であるここ日本において不動産投資を行うなら、自分の保有物件場所の地盤は当然気になることだと思います。
南海トラフ地震が高確率で将来起こると言われている現在、地震リスクを避ける上でも地盤の状態がよいに越したことはありません。
今回は、
『 地盤についての基礎知識 』
『 地盤調査ではどのようなことをするのか 』
『 自分でできる地盤チェック 』
について深堀りしながら解説していきます。
目次
不動産投資をやるなら知っておきたい【地盤】について
そもそも地盤とは?
私たちが普段何気なく使っている、この『 地盤 』というキーワード、まずはこれについて深掘りしていきましょう。
建築基準法では地盤を3種類に分類して定義しています。
・第1種地盤
→岩盤や硬質砂れき層などで構成され、第三紀以前の地層によって構成されているものなど
・第2種地盤
→第1種と第3種地盤以外のもの
・第3種地盤
→腐葉土、泥土などで大部分が構成される沖積層で、その深さがおおむね30m以上のもの。沼沢や泥海を埋め立てたもので深さが3m以上であり、かつ埋め立てられてから30年経過していないものなど。
第1種地盤であれば、その地盤は強固な地盤、第3種地盤だと脆い地盤だと言えます。このうち第3種地盤には俗にいう軟弱地盤も含まれます。
軟弱地盤とは、泥や多量の水を含んだ柔らかい土などからなる地盤のことを指します。
地盤が建物の重さを支えきれず、建物が沈下するおそれがあるため、住宅などを建設する際には、基礎全体で建物を支える『 ベタ基礎 』を採用したり、専用のくい打ち機で固い地盤部分までくいを打つ『 柱状改良 』といった工法で対策をします。
一般的に軟弱な地盤ほど、地震で大きく揺れ、不同沈下(地盤のゆがみにより建物が傾くこと)が起こりやすいと言われるので、建物を新築するなら軟弱地盤はなるべく避けたほうがよいでしょう。
地盤調査ってどうやっているの?
地盤の種類について理解できたので、続いて地盤調査についてみていきましょう。
地盤調査の方法には建築物の種類(木造戸建てなのかRCマンションなのか)によって、種類があるのでここでは主なものについて解説します。
なお、地盤調査自体は法律で義務化されてはいませんが、2000年に住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)が施行された影響があり、事業者は原則として建築前に地盤調査をするようになりました。
これは新築後10年以内に建築物に欠陥が見つかった際、事業者は無償で補修をしなければならず、そのための保険(瑕疵担保保険)に加入するには地盤調査を事前にやっている必要があるためです。
スウェーデン式サウンディング調査
一般的な木造戸建建築の場合、スウェーデン式サウンディング調査(以下、SS調査)というのを行います。
これは先端がスクリュー状になった棒を地下10メートルほどまで回転貫入させて行うもので、メリットとしてはコストが安く(平均5万前後)、調査時間も半日程度で済む、ということです。
デメリットとしてはあくまで簡易的な調査であるため、後述するボーリング調査ほど詳細な地盤データが取れないということです。
ただ、木造戸建てのように建物重量が軽めのものであれば、このSS調査で十分と言えるでしょう。
ボーリング調査
ボーリング調査では地面に円筒形状の孔をあけて、深さ1mごとにN値という強度の計測を実施して地層のサンプルを採取します。一般的に地下数十メートルまで掘削します。
これにより建築物の基礎に合った杭の長さや本数を決定することができます。
またボーリング調査は建築現場以外にも地下水位の測定や地下資源の調査、地盤沈下や液状化のリスク調査においても利用されます。
詳細なデータが取れるボーリング調査ですが、デメリットとしてはSS調査に比べるとコストが数十万、場合によっては数百万と費用がかさむことと、調査日数がかかるということです。
そのため、ボーリング調査は主にRCマンションなど比較的規模の大きな建築物の地盤調査に利用されます。
地盤関連でチェックしたいポイント
さて、ここまでで地盤についての基礎知識と、地盤調査の方法について理解できましたね。
ここでは、自身でできる地盤チェック方法についていくつか解説していきます。
周囲との高低差がないかどうか調べる
対象敷地と道路・隣地との高低差には注意したいです。
水は高いところから低いところに流れる、という言葉は聞いたことないでしょうか?
この言葉通り、周りより低い場所に地盤が位置していると、近年増えているゲリラ豪雨などの際に、土地が水没してしまう恐れがあります。
対策として敷地に雨水ますを設けたり、排水ポンプなどを設置して水を排出する、といった方法がありますが、コストもかかるため物件選びの段階で周囲より低い土地は避けたほうがよいでしょう。
地名の由来や古地図を調べる
地名に水を連想させるキーワードが入っていたり、さんずいが入っている地名はさけたほうがよいでしょう。
例を挙げると目黒区の『 碑文谷 』や、同じく目黒区内の交差点に残る『 蛇崩 』など、水や災害を連想させる場所は気をつけたほうがいいでしょう。
地名の由来はネットや図書館などを活用しましょう。
古地図も書店で入手することができますが、最近はGoogleなどのサービスで調べることもできますので、物件候補地については最低限調べたほうがよいでしょう。
ハザードマップを調べる
昨年の台風による被害によりにわかにクローズアップされるようになったハザードマップも是非チェックしたいポイントです。
ハザードマップに関しては不動産取引の重要事項説明に際しての必須説明項目ではありませんが、今後自主的に説明事項に入れていく不動産会社が増えていくものと思われます。
ハザードマップには主なものに洪水ハザードマップと地震ハザードマップがあるので、両方チェックするようにしましょう。
参考:新宿区洪水ハザードマップ
参考:新宿区地震ハザードマップ
地盤アプリで調べる
最近だとスマホで手軽に地盤調査ができるアプリがリリースされています。
様々なアプリがありますが、今回は下記2つを紹介します。
JIBANGOO
こちらのアプリでは、地図上に物件情報が表示されます。
物件情報には「地盤調査」「浸水リスク」「液状化リスク」「土砂災害リスク」「地震による揺れやすさ」といった5つの評価項目が設定されています。
各項目は20点満点でトータル80点以上の物件しか掲載していないのがメリットです。 また現在自分が住んでいる場所の住所を入力すれば、その地域の地盤情報も知ることができます。
地盤サポートマップ
こちらのアプリは地図上に地震の際の揺れやすさや液状化の危険度が色分けされて表示されるため、視覚的に地盤リスクを把握することができます。
検索結果をレポートとして出力できるほか、最寄りの避難所や医療機関も同時に表示させることができるため、いざと言う時に役立ちます。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
日本で不動産投資を行う以上、地盤との付き合いは避けて通れません。
本格的な調査や改良工事にはコストがかかりますが、自分でできる方法や無料の便利ツールも現在は充実しています。
売主や不動産会社の言うことを鵜呑みにするのではなく、自分で調べることが長期的に資産を守ることに繋がります。
今回は以上になります。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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