私たちが暮らす日本では、20歳以上60歳未満のすべての国民が公的年金に加入を法律で義務付けられています。
これは国民皆年金と言い、国民年金と厚生年金の2種類がありますが、今回は国民年金に焦点を当てて進めてまいります。
一般に認識されている国民年金(=公的年金)と言えば、老後に受け取るものとして広く認識されている
「老齢年金」ですが、他にも「遺族年金」・「障害年金」と3種類ありその総称です。
そもそも、公的年金とは国民全員が資金を出して支えあう互助の仕組みで、特に老齢年金は日本の高齢者の生活を支える
非常に大きな役目を果たしています。具体的には現在、国内の年金受給者は人口の3人に1人おり、高齢者世帯に
おける所得の6割を受給年金が占めているほどです。
これだけ国家の重要課題とされている年金制度が破綻するのではないか?という懸念は、以前からありました。
主な理由として、長寿命化と少子高齢化の加速に加え、年金制度そのものの仕組みにあると言われています。
受給者を第1世代とした場合、現役世代である第2世代が支払う保険料が、第1世代に給付されています。
これだと現役世代の人口が多い分には全く問題ありませんが、少子高齢化が進行すると現役世代への負担が大きく増え
機能不全に陥るのではないか?という見方です。
しかし国は100年先を見込んだしっかりとした対策を打っています。
・保険料は引き上げになったものの上限は固定し、負担軽減に努めている
・現役世代が払っている保険料は、一部を積立金として確保している
→この積立金はGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が運用して増やしています。
年金制度は破綻しない、と言える大きな理由のうちの一つに上記のGPIFによる手堅い運用が挙げられます。
詳しく説明していきましょう。
国民が納めた年金保険料を厚生労働省から預かって運用しており、2021年時点で運用資産額は196兆5926億円、
基本ポートフォリオは株式と債券で50:50、それぞれの中身は国内株式・海外株式が50:50、国内債券・海外債券が50:50に分散されています。
分散投資の手法を取っていますが、運用開始の2001年以降の累計収益:収益率は年率3.69%で
収益額は累計で105.4兆円という実績を残しています。
国家予算をオーバーする規模の資産額を誇り今や世界でも屈指の機関投資家と見られていますが、国民が納めた
大事な保険料が原資なので第一の使命は安全な運用であり、この運用益は将来世代の年金給付に充てるために、
活動を続けています。2019年に厚生労働省が実施した「財政検証」によると、この先50年は取り崩す必要のない
資金であると確定しているため、より一層安定的な資産運用の裏付けと言えます。
GPIFの大型運用によって、未来の年金制度は支えられていると考えていいかもしれません。つまりこのまま運用が
安定的に継続されれば、破綻することもなく我々日本人は安心して老後を迎えることが出来るのではないでしょうか。