新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大に伴う混乱について、安倍晋三首相が「第3次世界大戦」と表現していたことがわかった。首相と面会したジャーナリストの田原総一朗氏が14日、自身のブログで明らかにした。
(2020/4/16 朝日新聞)
上記は先日の朝日新聞の一面です。
安倍首相としては人類VSコロナの戦いを「 第3次世界大戦 」と表現したようですが、以前こちらで触れたように、コロナショックが現実の戦争に昇華する可能性はあり得ることです。
そこで今回の記事では、実際に有事が起こった際に避難すべき、安全だと思われる国をファクトに基づいて真剣にピックアップしてみました。
目次
安全な国の条件とは?
金融セクターである
上図は英国のシンクタンクZ/Yenグループ(https://www.zyen.com/)が毎年発表している、
世界各都市の金融センターとしての競争力を図る指標です。
金融業が発展しているのは重要なファクターです。
海外に脱出してみたものの、自身の金融資産にアクセスできないのは大問題です。
外国人でも様々な金融商品を購入できる、プライベートバンクやファミリーオフィスのサービスがある、税制面で優遇されている、通貨の安定性がある、といったことが主なポイントです。
お金は生きていくうえで最も大切なものの一つですから、金融市場の自由度、透明度は最重要視したいポイントです。
地政学的リスクが低い
まずは用語の解説をします。
地政学的リスクとは、ある特定の地域が抱える政治的・軍事的な緊張の高まりが、該当地域の経済または世界経済に対して悪影響を及ぼすリスクを指します。
身近な例を挙げると、北朝鮮によるミサイル発射実験(朝鮮半島)、中東地域における各紛争がイメージしやすいと思います。
テロや紛争と無関係であること、また周辺国と良好な関係を築けていること、国際社会において孤立していないことも大事です。
このほか地政学的リスクとは少し異なりますが、治安の良さや自然災害の少なさも加味しておきたいポイントです。
国土に縦深性がある
3つめのポイントとしては国土の縦深性があるかどうかです。
国土に縦深性があるとは、国土が広大であったり、険しい地形のため天然の要塞状態にある国にことを指します。
前者の例だとアメリカ、中国、ロシアなど、後者の例だとスイスやアフガニスタンが挙げられます。
国土に縦深性があれば、近代戦における防御側優位の理論により、相手を疲弊させることが可能です。
独ソ戦時のナチスドイツ、日中戦争時の大日本帝国の例がわかりやすいと思います。
皆さんもご存知のように攻撃を仕掛けた側は補給船が伸び切ったために、勝利をつかむことはできませんでした。
また、山岳要塞や地下要塞は核攻撃でも一掃することは困難であり、実際に冷戦時代のアメリカはソ連の核攻撃に備えてロッキー山脈の地下深くにシャイアン・マウンテン空軍基地を建設しています。
いますぐ口座開設推奨!理想の避難先トップ3
それでは上記のポイントを踏まえて私がオススメする理想の避難先トップ3を発表します。
下記に発表する3か国(3都市)は日本からの直行便(2020年5月現在)もあり、ハブ空港としての機能もあるため、アクセス面でも優秀です。
第3位 シドニー(オーストラリア)
第3位はオーストラリア最大の都市であるシドニーです。
オーストラリアGDPの1/4もシドニーが占めています。
(ちなみに首都はキャンベラに位置します)
シドニーのあるオーストラリアは世界6大陸のひとつであり、南半球に位置します。
オーストラリア一つで大陸を構成するので、国境を接する国は存在しません。
シドニーは上述の金融センターランキングでも直近で3度ランクインしており、証券取引所(ASX)や連邦準備銀行(RBA)もシドニーに存在します。
オーストラリアはイギリス連邦に属しており、旧宗主国であるイギリスや同じイギリス連邦に属するカナダや海を隔てた隣国でもあるニュージーランドとの関係が深いです。
現在はアジア太平洋地域の国として、日本やアメリカとの関係も強化しています。
基本的に国際関係は良好であり、内政も安定しているため、地政学的リスクも低いです。
また、治安もよく英語圏であるため、日本からの語学留学やワーキングホリデーの目的地としての人気も高く、若い世代の方にはこちらのほうがなじみ深いかもしれません。
オーストラリアは世界6位の面積を誇ることから、国土の縦深性にも長けており、周辺国との関係も良好です。 以上からオーストラリアのシドニーを第3位にランクインしました。
第2位 チューリッヒ(スイス)
第2位はスイス最大の都市であるチューリッヒです。
「 スイス銀行 」という言葉があるように、スイスは金融センターとして古くから名を知られています。
補足ですが、スイス銀行とは特定の銀行を指すわけではなく、スイスに拠点を置く金融機関の通称です。著名な金融機関だとUBSやクレディ・スイスが挙げられます。
チューリッヒは上記の金融センターランキングでも直近で2度のトップテン入りを果たしており、金融市場の成熟度に関しては申し分ありません。
プライベートバンクもスイスが発祥と言われています。
スイスは中央ヨーロッパに位置する内陸の共和制国家であり、フランス、ドイツ、オーストリア、イタリア、リヒテンシュタインと国境を接しています。
隣国との関係はいずれも良好であり、最近なにかと話題のWHO(世界保健機構)やILO(国際労働機関)の本部もスイスに置かれており、国際的な地位も高いことが伺えます。
スイスは面積こそ九州より少し広い程度、と小国ですが、その国土は山岳と高原が多数を占めており、天然の要塞の体をなしています。
第二次世界大戦当時は周囲を枢軸国(ナチスドイツ陣営)に囲まれ、絶体絶命のピンチに陥りましたが、当時の軍の最高司令官、アンリ・ギザン将軍による徹底防衛体制のもと一致団結し、終戦まで中立を維持した歴史を持ちます。
また、スイスはその歴史的背景からドイツ語、フランス語、イタリア語、ロマンシュ語の4言語を公用語として定めている「 多言語社会 」であり、英語教育にも力を入れています。
そのため国民の知的レベルも高く、英語が理解できる人であれば生活にはさほど困らないでしょう。 意外なことに銃の所有率は世界7位のスイスですが、GPI(世界平和度指数)の2018年のランキングでは日本に次いで第7位にランクインしており、治安面でも安心できます。
第1位 シンガポール
そして堂々の第1位はシンガポールです。
上記の金融センターランキングでも上位をずっとキープしている、アジアを代表する金融センターです。
所得税や法人税の税率も低く、アジアでは長年、香港と並んでタックスヘイブンとして有名でした。
東京23区ほどの面積しかなく、天然資源にも乏しいシンガポールは建国時から、金融業を基幹産業として力を入れてきました。その結果現在の繁栄があるといっても過言ではありません。
隣国のマレーシアとは独立時の経緯から多少のわだかまりはあるようですが、陸路で結ばれており、民間レベルでの交流は活発なようです。
記憶に新しいアメリカのトランプ大統領と北朝鮮の金正恩書記長の歴史的会談が行われたように、外交面では主に緊張関係にある2国間の仲介役としての地位を期待されている側面もあると見受けられます。
通貨も安定しており、治安も良好です。
また、中華系住民が多数を占めているため、中国との関係が良好なのもスイスやオーストラリアとの大きな違いです。
シンガポールの空の玄関口であるチャンギ国際空港は世界を代表するハブ空港でもあります。直行便で日本から6時間程度でアクセスできるのも魅力です。
唯一の弱点としては国土が狭く平坦なため、縦深性に欠けることです。 可能性は限りなく低いですが、核攻撃を受けたら一撃で国は壊滅してしまうでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
有事に備えて、といった理由で海外移住を考えている日本人の方はまだそこまでいないでしょうが、定年後の移住先や、子どもの教育環境であったり、働く場所として海外移住を検討している方は増えているのではないでしょうか。
実際、外務省の統計によると海外で暮らす日本人(長期滞在者+永住者)の数は、1989年(平成元年)には58万人ほどでしたが、直近の2018年(平成30年)には140万人に迫るなど、倍以上に増加しています。
(出典:外務省 海外在留邦人数調査統計)
リスク分散の一つとして、暮らす場所のポートフォリオを真剣に考えてもいいタイミングが来ているのかもしれませんね。
今回は以上となります。
最後までお読みいただきありがとうございました。