money

マネー

やはり日本国債は国民の借金ではない/日本国債を不動産オーナー業に例えて考える

やはり日本国債は国民の借金ではない/日本国債を不動産オーナー業に例えて考える

「日本は借金大国だ」「国民一人あたり〇〇円の借金だ」——こうした決まり文句が、メディアや政治家の口から何度も繰り返されています。そのたびに「日本国債は発行すべきか」「もう発行できないのか」といった議論が持ち上がりますが、実はその前提からして大きな誤解なのです。

深刻なのは、政策を決める政治家が経済の仕組みを正しく理解していないことです。古びた常識を振りかざし、日本国債を「国民の借金」と断じて、国民を脅し続けてきました。まるで不動産を知らない素人がビル経営を語るようなものです。無知と勘違いに基づく政策は、国民の生活を縛り、必要な投資のチャンスを奪い続けています。

これは単なる無知ではなく、時代遅れの政治家が日本経済を衰退へ導く危険な思考停止です。だからこそ、私たちは日本国債を改めて正しく理解する必要があります。その鍵になるのが「不動産オーナーに置き換えて考える」視点です。

要点

・日本国債は「今の政府支出=誰かの所得」を生む“お金の器”。将来の税金で必ず元本を返す前提ではない。

・日本だけが「60年で返す」と帳簿上に積む運用(60年償還ルール)を続け、予算を重く見せている。実際は借換えでつないでおり、恒常的に元本を現金で返し続けているわけではない。

・アメリカなど世界の基準は「利払い(しかも“純”利払い=受取利息を差し引いた実質負担)」だけを計上するのが一般的。

・「国債費が歳出の○%で大変」という見せ方は、60年償還費を上乗せする日本の会計慣行が肥大化させている面が大きい。

・本当に気をつけるべきは、“発行残高”そのものよりも、インフレや金利の急騰を招くほど需要超過にしないこと。

1,日本国債は「ビルローン」と同じ

不動産オーナーが大規模ビルを持ち、ローンを借り換えながら長期で運営するのと同じです。

家計の住宅ローンは「返し切る」がゴール

ビル経営では「返し切る」より借換えで回し続けるのが前提

日本国債も元本を毎年削る必要はなく、利払いを安定して回せるかが本質です。

2,60年償還ルール=「不要な元本返済ノルマ」

日本の帳簿には「毎年必ず1/60を返す」と計上されます。
これは不動産で言えば、実際には借換えで対応できるのに、収支表に“必ず元本返済”という架空の負担を積んでいるようなもの。
結果として「もうこの物件には投資余力がない」と錯覚を生んでしまいます。

3,「ワニの口」=不必要に大きな修繕積立を入れた収支表

本来の不動産収支では、家賃収入と運営費を比べて黒字か赤字かを判断します。

ところが、もし必要以上に大きな修繕積立を経費として毎年計上したらどうなるでしょうか。

実際には支出していないのに帳簿上の経費だけが膨らむ

収支表は赤字に見えて「このビルは経営が厳しい」と誤解される

これと同じ構造で、国の財政でも実際には借換えで対応している日本国債の償還費を「支出」に加えるため、収入と支出の差が大きく開いた“危機的なグラフ”が作られています。
つまり「ワニの口」と呼ばれるグラフは、実際の状況を反映したものではなく、不必要に大きな積立を上乗せした帳簿上の赤字に過ぎないのです。
➡「本来は黒字なのに帳簿の付け方で赤字に見せられている」状況

4,金利上昇=ビルの家賃水準・収益性の見直し

不動産で言えば、ビルのエリア価値や賃料水準が上がれば「利回りの基準」も変わります。

例えば、今まで月100万円しか取れなかったフロア賃料が、街の再開発で120万円取れるようになれば、投資家はそのビルに対して「より高い利回り(3%程度でも妥当)」と評価するようになります。

つまり、金利が上がるのは“価値が下がる”サインではなく、“収益力が上がった市場に合わせて利回りを正常化する”動きです。

日本国債の長期金利が3%程度に上がるのも同じ構造で、
「経済が成長し、インフレ率と実質成長率を足した名目成長率が3%程度になる」という前向きな見通しを市場が織り込んだ結果です。

したがって、一時的な金利上昇を「日本国債が売れなくなった証拠」と決めつけるのは、成長による利回り正常化を誤解しているだけに過ぎません。

5,本当のリスク=需要を焚き過ぎて市況が過熱すること

不動産でも供給力を超える建設需要が起きれば、建築費高騰や金利上昇で民間投資が止まるのがリスクです。
国も同じで、真に注意すべきは日本国債の残高の数字そのものではなく、インフレや高金利を招く需要超過です。

✅まとめ

日本国債は「大規模ビルを長期に保有するオーナーのローン」と考えると理解しやすいです。

・元本返済ノルマは実体のない帳簿上の負担

・重要なのは利払いが安定して回ること

・リスクは過度な需要超過によるインフレと高金利

・良い借金は資産価値を高める投資に使うこと

政治家の誤解や怠慢が、国民の未来を狭めているのが現状です。日本国債の本質を正しく理解し、不動産オーナーのように「賢く借り、価値を増やす」発想を持つことが、これからの日本に不可欠です。

今の日本を代表する政治家は怠慢さが完全に体形に反映されているようにしか見えません。

⚠️注意書き

本記事では、わかりやすさを優先し「国債」をすべて「日本国債」と表記しています。本来「国債」は各国の政府が発行する債券全般を指しますが、ここでは日本に限定して説明しています。

▼世界の経済動向や海外不動産など様々な情報をLINE限定でお送りしています。

登録はこちらから▼

https://page.line.me/tes2030

好評発売中!橋本裕介 著作

『あなたをインフレ時代の勝者にする』

▼ご購入はこちらから▼

https://www.sairyusha.co.jp/book/b10107857.html

『ドバイ不動産投資入門』

▼ご購入はこちらから▼

円安と大災害に “備える” ドバイ不動産投資入門: 日本の不動産は正直もう古い?あなたの資産、日本円だけで本当に安全ですか? | 橋本 裕介, SSS出版 | 不動産投資 | Kindleストア | Amazon

橋本裕介
代表取締役
弊社の事業は、
・人材教育と開発
・金融商品のご案内
これらを主たる事業フレームとしております。
そして、弊社では不動産を金融商品と考えております。