アメリカの株式市場の下落と『短期的』には景気後退を示唆する日本の現状
現在、アメリカの株式市場は調整局面にあり、主要な株価指数が下落している。
・S&P500:2月の高値から7.8%下落
・NASDAQ:同じ期間で11.6%下落
この下落はまだ大きなものではないが、今後の動向に注目が集まっている。
株価下落の主な要因は以下の通り。
【関税政策の影響】
トランプ政権は中国への追加関税(10%)を2月から開始。カナダやメキシコの製品には3月4日から関税を適用し、一部品目は4月2日まで延期されている。
インドとの相互関税も発動の可能性があり、輸入品の価格上昇が消費を抑制し、景気に悪影響を及ぼす懸念がある。
【経済成長率の鈍化】
FRBは2025年の成長率を2.1%と予測し、IMFは2.8%としていた。
しかし、関税の影響で成長率が1.0%〜1.5%程度まで低下する可能性が指摘されている。
【インフレの高止まり】
現在のインフレ率は3%前後で、FRBの目標である2%を上回っている。
関税の影響でさらに物価が上昇する可能性があり、3月12日に発表される消費者物価指数(CPI)が重要な指標となる。
【歳出削減の影響】
トランプ政権は政府の無駄遣い削減を進めており、公務員の解雇や経済活動の低下が懸念される。
短期的には景気の減速リスクが高まるが、財政健全化には不可欠とされている。
【ハイテク株の下落】
特にテスラは12月から45%下落。EV市場の期待外れやイーロン・マスク氏への批判が影響している。
NVIDIAも決算発表後に下落し、市場では「AIバブル崩壊」の懸念が広がっている。
今後の展望としては、短期的に市場の調整が続く可能性が高い。
一方で、トランプ政権が経済支援策を打ち出す可能性もあり、長期的には資産バブルの継続と富の格差拡大が予想される。
◇日本の製造業の現状◇
日本の製造業はすでに景気後退に入っている可能性が高い。
ただし、日本全体の景気後退については、4月の日銀短観の結果を待つ必要がある。
【過去の景気循環】
・1990年代:バブル崩壊後、消費税増税や金融危機で生産が減少
・2000年代:ITバブル崩壊後、中国・インド経済の成長で回復
・2008年:リーマンショックで大幅な生産減少
・2011年:東日本大震災による影響
・2020年:コロナショックで生産が急落
・2023年〜2025年:回復しないまま縮小傾向(中国依存型経済の衰退が要因)
現在の製造業低迷の主な原因は以下の通り。
【中国依存型経済の崩壊】
日本の製造業は長年、中国・東南アジア向けの輸出に依存してきた。
しかし、米中貿易戦争やコロナ後の経済縮小で中国市場が縮小し、日本企業の競争力が低下している。
【エネルギー問題】
東日本大震災以降、原発の停止による電力供給の不安が続き、生産が抑制されている。
電力コストの上昇も企業の負担となっている。
【設備投資の縮小】
工作機械や化学製品などの分野で設備投資が低迷し、製造業全体が縮小傾向にある。
~日本の株式市場の堅調な理由~
製造業が低迷しているにもかかわらず、日本の株式市場は堅調に推移している。
その理由は以下の通り。
【デフレからの脱却】
日本経済は長年のデフレから脱却し、インフレ基調に入っている。
物価上昇が企業収益を押し上げ、株価を支えている。
【第3次産業が景気を牽引】
建設業、不動産業、金融業、広告、外食、ホテル業、小売・卸売業などが景気を支えている。
~今後のリスク~
【金利上昇の影響】 金利が上昇すると、不動産・建設・金融・小売業に大きな打撃を与え、企業の借入コストが増大し、設備投資が鈍化する。
特に我々が扱う不動産セクターでの居住用賃貸アパートは大きな影響がある。
【日銀の利上げリスク】
日銀が利上げを実施すれば、第3次産業がダメージを受け、日本経済が再び停滞する可能性がある。
~今後の注目ポイント~
【日銀短観(4月発表)】
サービス業の業況判断が悪化しているかどうかが焦点。
予測が下方修正されれば、日本経済の景気後退が本格化する可能性がある。中長期では期待できるが、さらに先になる可能性が出てきている。
【日銀の金融政策】
利上げのタイミング次第で株価に大きな影響を与える可能性がある。
【円安・金利動向】
金利上昇は短期的には円安抑制の効果があるが、長期的には景気を冷やすリスクがある。
*まとめ*
・日本の製造業は短期的にはすでに景気後退の可能性が高い
・中国依存型経済(製造業)の崩壊、エネルギー問題、設備投資の縮小が主な要因
・現在の日本経済は第3次産業が支えているが、金利上昇によりこの支えが崩れるリスクがある
・日銀の利上げが早すぎると、日本経済全体が低迷し、日経平均も下落する可能性がある
・4月の日銀短観の発表が、日本経済の方向性を判断する重要なポイント
結論として、日本の製造業はすでに景気後退に入り、今後は第3次産業の動向が日本経済の鍵を握る。
金利上昇がこのセクターの腰折れを引き起こすかどうかが、日本経済の次の大きなリスクと考えられます。

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