個人投資家兼ファイナンシャルプランナーの堅塩です。第7回目の投稿となりました。
前回は「ポートフォリオの考え方と作り方(概要)」についてお伝えしてきました。
今回は、もう1歩踏み込んで、各「資産クラスの特徴〜1〜」について記載してみようと思います。
資産クラスとは、前回の記事で記載した、下記5つの資産のことです。
1:為替(現金)
2:不動産
3:債券
4:株式
5:コモディティ
※市場の大きい順番に列挙
これらの資産ごとに特徴がありますので、その資産の特徴について考えてみたいと思います。
ポートフォリオを作っていく際に欠かせない視点として、
「①リスク・②リターン・③相関関係」
を考えていく必要があるので、その3点を意識しながら考えてみましょう。
※なお、今回の記事では「為替」「不動産」まで記載します。
目次
為替(現金)
そもそも、為替(現金)の投資とは何を指し示すのか?というと、各国の通貨の「両替」を指し示します。
記事読者の多くは、日本国内に在住であると考えられるので、おそらく多くの資産を「日本円」で保有していると思いますが、この「日本円」を「アメリカドル」や「ユーロ」などに両替をすることで、資産を形成していくことができます。
簡単な例でお話すると、
1ドル=100円
で両替できる時代に、皆さんの10万円を全てドルに両替すると
10万円→1,000ドル
(※両替手数料など含まず)
となり、1,000ドルを受け取ることができます。
皆さんがその1,000ドルを保有している間にドルの価値が高く(ドル高円安に)なり、
1ドル=110円
に動き、その動きを見て、保有している1,000ドルを全て円に両替し直すと、
1,000ドル✕110円=11万円
戻ってくることになり最初に持っていた10万円が「両替」を通して11万円(+1万円)に増えたということになります。
このように資産の一部を他国の通貨に変えて保有する事により、資産形成を行っていく事ができます。
今の例では、1ドル=100円→110円(ドル高円安)になるケースを想定しましたが、
逆に、1ドル=90円(ドル安円高)となると、最終的に受け取れる金額は9万円となり、
皆さんの持っている10万円は減ってしまう状態になります。
日本「円」建ての資産を保有している場合、円高となれば、資産は増えていく状態となりますが、
逆に円安が進行していくと、資産が目減りすることになります。
なので、全ての資産を「日本円」だけで保有するのではなく、他の国の通貨や資産として保有することで、資産を増やし、そして資産を守っていくことができます。
ポートフォリオを作っていく際には、日本円建ての資産以外の資産にも目を向けてみて下さい。
ではもう少し、日本円建ての資産を持つことのリスクについても考えてみましょう。
「日本円」だけを持つことのリスク
日本国通貨である「円」が抱えるリスクは様々なものがあります。3つ例をあげましょう。
1:信用不安リスク
読者のみなさんもよくご存知の通り、日本の支出と債務残高(簡単に言うと日本の借金)は非常に大きなものになっています。
日本を1つの大きな家庭とイメージしてみるとこの様なイメージになります。
「年収600万円の家庭が、
年間1,000万円を生活費と借金の返済に使っていて、
借金が1億1千万円ある」
歳入:60兆円
歳出:100兆円
普通国債の発行残高:1120兆円
極端な話ではありますが、そんな家庭を皆さんは「信用」することはできるでしょうか?
(この議論については様々な意見が述べられているので、ぜひ読者の皆さんで調べてみて下さい)
日本の良し悪しが問題ではなく、この様な状況があるため、
もし日本の信用が崩れる事態となれば、日本円への信用が下がり、それに伴い日本の「円」の価値が下がってしまうリスクは考えておく必要があるということが言えます。
2:インフレリスク
インフレ(インフレーション)とは、モノやサービスなどの価格(物価)が上昇する傾向のことを指し示します。
当然ものの価値が上がるということは、通貨の価値が下がっていることを意味します。
現在、日本の中央銀行である日本銀行(日銀)は年間インフレ目標2%を掲げています。
つまり、何もしなければ、私達の資産(または貯蓄しているお金)は年間2%ずつ価値を失っていくリスクがあるということが言えるでしょう。
例)
皆さんが10万円貯金していた際に、
昨年10万円で買えていたものが、今年10万2,000円(2%のインフレ)になってしまうので、購入できなくなる。
結果、相対的に昨年の10万円よりも今年の10万円の価値が下がっていると考えられる。
また、それ以外にも日本は輸入国であるため、輸入物価が高騰すると円安のリスクが生じる可能性もあります。
3:不景気リスク
これは直感的にもわかることだと思いますが、
不景気になり、日本国内の各種資産(例えば「株、不動産、通貨」)の価値が下がれば、全ての円建ての運用は軒並みうまくいかなくなるリスクを抱えています。
2月に起こったコロナショックが良い例だと言えます。
当時日本円建ての資産を保有していた多くの投資家は資産を減らしてしまう事となりました。
このように、日本円建ての資産だけを持つリスクは様々なものが考えられます。
なので、読者の皆さんがポートフォリオを組む際には、日本円だけではなく、海外通貨を含めたポートフォリオの作成を検討してみて下さい。
どの通貨が良いかわからないという方は、
まずは、なじみのある日本円建て資産に加え、基軸通貨である「米ドル」建て資産を20〜30%程度含んだポートフォリオを作ってみると良いでしょう。
不動産
不動産に関しては、本記事以外の記事でも度々触れられているはずなので、
ここでは簡単に特徴を簡単に記載しましょう。
まず、読者の皆さんに知っておいてほしいこととして、世界の中でも不動産の市場規模が2番めに大きいと言われています。
【市場規模】
1:通貨 :1日の売買高が5兆ドル(年間取引高1,000兆ドル)
2:不動産 :時価総額約200兆ドル
3:株式 :時価総額約80兆ドル
4:債券 :時価総額約50兆ドル
5:商品 :金の時価総額約10兆ドル
そのため、資産クラスとして、不動産の特徴を理解することはポートフォリオ作成において重要と言えるでしょう。
不動産の特徴としては、
そもそも、現物があり、融資を活用することでレバレッジをかけることができます。
また、物件を選択する選択眼があれば、購入〜保有中〜売却まで全て自分のコントロール下に置くことができるため、他の投資に比べて自分でコントロールしやすいという特徴があります。
また、現物資産を保有するため、インフレに強いという特徴も持ち合わせます。
その他にも収入の原資が家賃収入であるため、価格変動が少ないことも特徴になります。
(一方で株式や商品は価格変動が大きい資産クラスになります)
価格変動が少ないということは、将来受け取れるリターンも予測しやすくなるため、
ポートフォリオ内に加えると非常に安定した運用を実現してくれます。
一方で不動産投資となると、ある程度のまとまった資金が必要となり、
更に株や商品ほど簡単に売り買いができないため、流動性は低いことはリスクと言えます。
その様なリスクを抑えたいという方は、不動産投資信託である「REIT」をポートフォリオに組み入れることを考えてみて下さい。
REITは投資信託(ETF)と非常によく似ており、
私達投資家がREITを購入し、その購入資金を元に投資会社が不動産を購入し、
その不動産で運用して得た賃料収入などを投資家に分配してくれる金融商品を指します。
出典:JapanREIT(http://www.japan-reit.com/beginner/01)
「ポートフォリオ内に不動産を組み入れたい。ただ、現物を購入できるほど資金がない」
という方は、このREITの組入を検討すると良いでしょう。
REITの選び方など詳しい方法はまた別の機会でご紹介したいと思いますが、
この様にREITなどの金融商品を活用することで、皆さんのポートフォリオ内に不動産を組入れ運用を進める事ができるようになります。
今回は簡単に2つの資産クラスについて記載しました。
次回は残りの3つについてお伝えしたいと思います。
まとめ
今回は資産クラスの為替(現金)と不動産について解説しました。
次回は残りの資産クラスについて続きを解説します。
前回解説したポートフォリオの作成のためにも引き続き資産クラスについて個別に勉強してみてはいかがでしょうか。
最後までお読みいただきありがとうございました。